4:映画を見ようーこの世界の片隅にー
今回は、時期も時期ですので、このような映画をご紹介したいと思います。
この世界の片隅に
2016年公開の日本映画(アニメーション)
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代
出演(声の出演)
北條 すず:のん
北條 周作:細谷 佳正
水原 哲:小野 大輔
黒村 径子:尾身 美詞
黒村 晴美:稲葉菜月
浦野 すみ:潘めぐみ
北條 円太郎:牛山茂
北條 サン:新谷真弓
白木 リン:岩井七世
勝手な感想
この映画に関しては、多くを語りません。まだご覧になっていない方には、是非とも、是非とも見てもらいたい映画です。特に、お子さんには見てもらいたいと、切に思います。
ここで、終わってしまっては意味がありませんので、少し書かせていただくと、この映画が他の戦争映画と違うのは、戦争の中の日常を主人公すずさんの目を通して、淡々と描かれているのです。
日常の中の戦争、戦争の中の日常。物語の前半は、戦争というものが身近に感じられないんですよね。舞台は軍港の街、呉ですから他の地域よりも戦争は身近ではあるんでしょうけど、どこか現実感がないというか、不思議な感覚になります。
これは、のんさん演じるすずさんののんびりした描写もあると思うのですが、戦時中というある種緊迫感が当たり前のように漂う日常なのに、これはちょっと、びっくりでした。
もちろん、戦局の悪化により、空襲、原爆という悲惨な戦争というものが描かれてくるわけですが、それでも、どこかのんびりとした空気感というか、同じ広島でも、呉は直接的な原爆の被害がないというのもあるのでしょうけど、逆に客観的に見るからこそ、大変な事が起こっているけど、情報が入ってこないもどかしさ、なんとかしたいんだけど、何も出来ないもどかしさ、が伝わってきて、日常の空気感はそのままに、リアルな戦争というものを感じる事ができたのかもしれません。
あらすじ(ネタバレ無し)
1944年(昭和19年)すずさんは、18歳で広島から呉へお嫁に行きます。戦時下の中、決して楽な生活ではないのですが、すずさんは持ち前の明るさで、頑張って毎日を過ごしています。呉の大空襲が起こるまでは…
基本は、すずさんの目線を通した、普通の人々のお話です。ここには、勇敢なヒーローはいません。本当に普通に一生懸命生きている人達の話です。
異例のロングラン
2016年11月12日に封切られ、2019年12月19日まで1133日連続ロングラン上映されました。
当初、国内63館のスタートでしたが、累計で全国484館まで拡大上映しました。ミニシアター系では異例の大ヒットとなり、国内外数多くの賞も受賞しています。
監督のこだわり
片渕監督は、この作品の為に、何度も深夜バスで広島に行き、当時の天気や、店の品揃え、警報の発令時刻などを徹底的に調べ上げ、時代考証をしっかりと重ね上げ、リアリティとデティールにこだわったそうです。このこだわりは、作中随所に見られますし、それが、作品の深さにも繋がっているんでしょうね。
クラウドファンディング
なかなかアニメーション制作資金が集まらない中で、クラウドファンディングを導入しました。しかし、これは直接的な資金調達の意味合いよりも、話題作りと応援団作りという意味合いの方が強かったそうです。NHKで放送された時に、エンドクレジットで「クラウドファンディングで支援してくださった皆様」といれたそうです。
最後に
こういった映画は、それぞれの主義、主張によって批判を受けやすい映画でもあります。
まぁ、僕にとってはそんな事はどうでも良くて、戦争は良くないという事が伝われば良いのではないかと思います。
戦争は、理不尽に全てを奪い去って行きます。人を無意識に加害者、被害者にしてしまいます。誰もが、被害者で、加害者なのです。この映画は、そこら辺がすごく上手く描かれていると感じます。
戦争を経験していない大人の僕達が、これからの子供たちにどうやって戦争を伝えていくのか、戦争は良くない、この一点を上手に伝えることの出来る映画だと思います。
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