5:コーデックとちょっとテレビ方式【動画編集者初心者向け】
今回はコーデックの色々を説明したいと思います。
パソコンで映像を扱う上で、コーデックはとても重要な物です。
コーデックを理解していると、もし、データが読めない、再生出来ないなんてことになっても対処をすることができます。
それぞれのメディアに適したコーデックもあります。たくさんありますから大変だと思いますが、ぜひ覚えて下さい。
コーデックとは
動画データと音声データを圧縮、変換(エンコード)復元(デコード)するプログラムです。
動画ファイルと混同されますが、正確に言うと違います。
コーデックとは、規格であると理解して下さい。
日常生活を見回してみても、映像は様々なところで見ることができます。また、映像を扱う機器も沢山あります。
その反面、映像データは圧縮をしないと、とんでもない容量になります。ましてや、4k8kともなると、あっという間にテラバイト使いますし、それどころか、それらを動かす機器も相当なハイスペックでないとなりません。まぁ、今みたいにスマホで気楽に見ることなんて出来ないですよね。
その為に、各機器に合わせた圧縮技術、コーデックが生まれたわけです。
言ってみれば、映像を身近にしてくれたのが、コーデックと言うわけです。ざっくりとした説明ですが、このような認識で構わないと思います。
コーデックってどこで作ってるの?
いろんなところで作っています。各メーカー独自に作っている場合もありますよ。
特にカメラメーカーなんかは、より高画質で、より軽いデータ量というのを目指していますから、日々開発しているわけです。
もちろん標準規格もあります。というか、標準規格がなければ、放送業界なんか困っちゃいますよね。なもので、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers:米国映画テレビ技術者協会:映画やテレビ放送に関する基準技術規格を策定している団体)やEBU(European Broadcasting Union:欧州放送連合:欧州の放送事業者を中心として、放送に関する技術的、法律的に寄与するために設立。標準化も推進。)などが、標準規格を作りました。
ここらへんの標準化とは、デジタル放送の伝送、通信フォーマットなども絡んできますので、直接的には、あまりコーデックに関係ないところもありますので、気になさらなくても良いと思います。
※テレビ方式(ちょっとした豆知識)
みなさんは、テレビ方式ってご存知ですか?ちょっと放送の話が出たのでまとめておきます。(知っている方は読み飛ばしてくださって構いません。)
テレビって世界共通ではなく、いくつかの規格によって放送されています。
デジタル時代となった現在では、各国、各地域で独自なフォーマットを開発し、運用しておりますが、アナログ時代は、3つの標準規格がありました。
NTSC方式
主に北中米諸国や南米の一部、日本、韓国、台湾、東南アジアの一部で採用。
アスペクト比4:3(720×480)、毎秒30フレーム、走査線525本
PAL方式
フランスを除くヨーロッパの大半、中東、アフリカ、アジア太平洋地域、南米などで採用。
アスペクト比4:3(720×576)、毎秒25フレーム、走査線625本
PAL方式は、数多くの派生型もあります。
SECAM方式
フランス、旧フランス植民地、東欧など旧共産圏。
アスペクト比4:3(720×576)、毎秒25フレーム、走査線625本
こうやってみると、テレビ方式だけでどの国の影響を受けたか、わかる気がしませんか?
特に、NTSCなんかは、米軍基地がある所なんて言われてますしね。
それ以外でも、植民地だった国は、宗主国の技術を使うわけですから。
世界の縮図ですね。ちょっと面白いですよね。
デジタル時代になって、各国の独自技術と書きました。しかし、アスペクト比、画角サイズはHD化に伴って変わりましたが、フレーム数などは変わっていないです。
NTSC方式
アスペクト比16:9(1920×1080)、毎秒30フレーム(30fps)
PAL方式
アスペクト比16:9(1920×1080)、毎秒25フレーム(25fps)
僕なんかは25フレームの物を見ると、いまだに「PALじゃん」なんて言っちゃいます。
今は、パソコンで、25fpsだろうが、30fpsだろうが普通に見ることが出来ますが、
DVDプレイヤーなど、アナログ時代の技術を使われている物は、日本ではPAL、SECAM方式の物は再生出来ません。
コーデックとコンテナファイル
コーデックと動画ファイルとは違うと先程書きました。では、動画ファイルとはどう言った物なのでしょう。
動画ファイルは一つのファイルに見えますが、実際には、映像と音声それぞれのコーデックにより、映像データ、音声データとなり、一つの入れ物に入り、これが動画ファイルとなります。これをコンテナファイルと言います。
このコンテナファイルには、映像、音声データのみならず、情報データを入れられる物もあります。これは、フォルダのような別々のファイルをまとめてはいるのですが、一つのデータとなります。
コンテナファイル(動画ファイル)には、形式によって使えるコーデックが違います。
ここによく使われるものを載せておきますので、参考にして下さい。
コンテナ名(拡張子) |
使えるコーデック(例) |
使える音声コーデック(例) |
AVI(.avi) |
AAC・MP3・LPCM |
|
MP4(.mp4) |
AAC・MP3・LPCM・AC-3 |
|
MOV(.mov) |
AAC・MP3・Voribis・AC-3 |
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MPEG2-TS(.mpg) |
AAC・AC-3・MP3 |
|
MPEG2-PS(.mpg) |
AAC・MP3・LPCM |
|
WMV(.wmv) |
WMV9 |
|
FLV(.flv) |
VP6・H.263・H.264(バージョンによる) |
|
ASF(.asf) |
他にもまだありますが、とりあえずはこれくらいを覚えておけば良いと思います。
その中でも、良く使うのはMP4。Windowsの方だったらAVI。MacでしたらMOVですかね。
ちなみに僕の場合、放送関係の仕事の時は、試写チェック用の時は、H.264コーデックのMP4。納品はProResコーデックのMOVが多いです。
MP4は汎用性が高く、また軽いので便利なのです。
MOVはAppleが作った物なので、AppleのQuickTimeがなければ見れませんので、Windowsを使っている方が見れないなんて事も良くありました。
逆にAVIはWindowsが作った物なので、Macでは読めないなんて事もありました。
SNSの推奨ファイル形式
SNSの動画配信に関しては、YouTube、Instagram、Twitter、TicTok全てで、MP4をサポートしています。MOVもサポートしていますが、如何せんデータ量が重くなりますので、アップロードなどを考えても、MP4が良いのではと思います。